ピッコロ大魔王の生まれ変わりであるピッコロは、悟空を殺して世界征服するために生まれた魔族でした。
ピッコロ大魔王は元々神様の悪の心だけが分離した悪の化身。世界征服が目的でしたし、趣味は人間の苦しむ顔を見ることとかいう外道みたいな人でした。
しかしその生まれ変わりであるピッコロは、自分が魔族として生まれてきたことを恨んでいたのではないかと思います。
悟空を殺して世界征服することが使命として生まれてきたために悟空と戦ったものの、本心ではそれを望んでいないように思うのです。
天下一武道会でのピッコロ
悟空を倒すため天下一武道会に現れたピッコロは、ピッコロ大魔王と同じく悪の意志をはっきりと持っていました。
悟空を殺すことを目的とし、観客への被害もおかまいなしに広範囲の攻撃をするなど、まさに悪役の行いをしています。ピッコロ大魔王の意志をきちんと継いでいる感じでしたね。
とは言え、この時点ですでに、ピッコロ大魔王と比べると悪の心がやや薄れていました。
実際、大会中でも観客への被害を気にしてはいませんでしたが、かといって観客を人質にするなどのあくどいことはせず、人への被害はほとんどありません。
悟空は生まれ変わったピッコロのことを「以前ほど悪い奴じゃない」と評価しています。まだ魔族であったこの時期でも、ピッコロ大魔王に比べると少し穏やかになっていたのでしょう。
悟飯に修行を教える
ラディッツと戦ったあと、次にくるサイヤ人に備えて、ピッコロが悟飯に修行を教えることになります。
最初の半年間は、何もない荒野に一人置き去りにするというスパルタすぎる稽古。まだ子供で泣き虫な悟飯は泣きわめき、その様子を見てピッコロが呟きます。

《出典:ドラゴンボール》
「恨むんならてめえの運命を恨むんだな。このオレのように……」
この台詞からピッコロが自分の運命を恨んでいることがわかりますが、一体何を恨んでいたのでしょうか?
ピッコロは生まれてから、修行して天下一武道会に出場、悟空に敗れて再戦のために修行していたところ、ラディッツと戦った、という程度の人生しか歩んでいません。
別に悟飯のような過酷なことをさせられていたわけでもないのにこんな発言がでたということは、魔族としてピッコロ大魔王の意志を継いで生まれたことそのものを恨んでいるようにしか思えないです。
また、この時点で神様にも「以前のようなずる賢い粗暴さが失せている」と言われており、更にはピッコロに殺されたラディッツの魂があの世に行っていることから、魔族ではなくなっているとも判明しています。(魔族に殺された者の魂はあの世に行けないため)
悟飯に対しても、何だかんだ林檎を恵んだり剣と服をプレゼントするなど、ささやかな助力を陰でしているため、見かけの態度ほど悪い人物ではなくなっています。
ピッコロは周囲と違う存在だったのが嫌だったのかもしれない
ナッパとの戦いで悟飯を庇って致命傷を負うピッコロ。
それまでは悟飯のことを大事にしていないような発言が多かったですが、死の間際に悟飯といた時間が悪くなかったことを語ります。
そのときに、「オレとまともに喋ってくれたのはお前だけだった」と言っていました。
ナメック星人のピッコロは地球人とは姿形がまるで違い、しかもピッコロ大魔王という全世界の人が恐ろしいと認識している存在と見た目が似ていますから、地球人とまともに会話をすることは困難だったでしょう。
生まれたときから家族もいないため、ピッコロはずっと孤独だったはず。拠り所として自分の生まれた理由である、「悟空を殺す」「世界征服する」のために生きることしかできなかったのではないでしょうか。
ピッコロ大魔王は神様の悪の心だけが別れた存在でしたが、ピッコロは魔族とはいえあくまで一人のナメック星人として生まれています。周囲に馴染めない、悪として生きるしかない自分の運命が嫌だったのかもしれません……。
まとめ
ピッコロは大魔王の意志を継いで魔族として生まれてきた自分の運命を恨んでいたように思えます。
サイヤ人と同じく戦闘好きなのは性分なのでしょうが、結局悟空を殺すことや世界征服もすっかりやめていることを考えても、元々悪に染まりきっていなかったんでしょうね。
神様を最後まで嫌っていたのは、神になるために悪の心を切り離したことを憎んでいたのでしょう。切り離したからこそピッコロ大魔王という悪の化身が生まれ、自分がその意志を継ぐ運命を背負ってしまったわけですから。
悟飯は自分の存在を疎むことなく接してくれる初めての人でした。生まれてからずっと求めてきた存在だったのかもしれません。
《ピッコロ登場は14巻から!》