『ドラゴンボール』の物語後半では、気功波一発で地球を破壊できるほどパワーインフレしていきます。
戦闘中に地面に向けて気功波を撃つと地球を壊してしまうため、悟空たちは撃つ方向や力加減をしながら攻撃しており、敵の気功波は避けると地球が破壊されるという状況を利用されてしまうケースもありました。
初めて気功波で地球を壊すという表現が行われたのが、サイヤ人編のベジータ戦。界王拳3倍の悟空に傷をつけられたベジータは、逆上してギャリック砲で地球を破壊しようとしました。

《出典:ドラゴンボール》
悟空がかめはめ波で押し返したから良かったものの、もしギャリック砲で地球が壊れていたら、ベジータも宇宙空間に放り出されて死んでいたはずなんですよね。どうするつもりだったんでしょうか。
サイヤ人は宇宙空間では生きられない
初めてあのシーンを見た読者は、「サイヤ人は宇宙空間で生きられるのかな」と考えると思います。
作中で宇宙人が登場したのが初めてでしたから、地球を破壊するという過激な行動をベジータがとったのも、ベジータ自身は生存できるからだと思うでしょう。
しかし同じサイヤ人である悟空は、宇宙空間で生きることはできないことが後に判明します。
フリーザ戦では、フリーザは宇宙空間で生き延びられるため、悟空に勝てないと悟ったフリーザが星を壊すことで悟空を殺そうとしていました。
界王様もフリーザ戦で死んだ(と思っていた)悟空を生き返らせる話になったとき、宇宙空間で生き返るからすぐにまた死が待っていると発言しています。
結果的に悟空はナメック星を脱出していたため死んでいませんでしたけどね。星が爆発する寸前のわずか数秒で、「ちくしょぉおお」と諦めて絶望していたところからギニュー特戦隊の宇宙船を見つけて乗り込み起動させて脱出した悟空はすごい。
悟空が宇宙空間で生きられないということは、同じサイヤ人であるベジータも宇宙空間では生きられないと思って良いでしょう。
つまりベジータは地球が壊れれば自分も死ぬというのに、悟空戦でギャリック砲を撃ったということになります。
ベジータは何故地球を壊そうとした?
界王拳3倍を使った悟空はベジータの戦闘力を上回り、ベジータにダメージを与えることに成功しました。
とはいえそこまで大きな傷を負ったわけではなく、ベジータが悟空に絶対に敵わないと感じるほどの実力差があったわけではありません。
ましてや界王拳3倍は身体に大きな負担をかけているので、そのまま戦っていたらすぐに悟空はガス欠になっていたでしょう(界王拳の反動をベジータは知りませんが)。かめはめ波でベジータを倒せなかったことを考えると、界王拳3倍でベジータを倒すのは難しかったと思います。
ベジータからすればまだまだ戦える余地があったのに、地球を壊すという発想をするのは早すぎると思うんですよね。大猿になって戦うことも予め視野に入れていたのにも関わらず。
ナッパが戦っていたときに悟空が来るのを3時間待っていたのも、「今日はあと3~4時間もすれば素晴らしい地獄ショーも見せてやれる」という発言から、月が出てくるのを待っていたためだと思われます。

《出典:ドラゴンボール》
最初から大猿になることを計算に入れていたのであれば、地球を壊す前にそうすれば良かったのに。
ただギャリック砲をかめはめ波で撃ち返された後は、再度地球を破壊しようとせず、少し冷静になって大猿になることを決めました。悟空は尻尾がなく大猿になれないため、大猿になれば悟空を上回れることは確実だからです。(実際は悟空はすでに体力が限界だったので、大猿にならなくてもベジータの方が優勢でしたが)
地球を破壊したいだけなら、悟空に向けて撃たずに別の方向にでも撃てば悟空は止めることもできずに破壊できたはず。それをしなかったのは、地球の破壊というのが短絡的な衝動でしかなかったということなのでしょう。
悟空が避けないと思っていた?
ベジータはギャリック砲を放つとき、「避けられるものなら避けてみろ! 貴様は助かっても地球は粉々だ!」と叫んでいます。
悟空が避ければ地表にギャリック砲が当たり地球は粉々。言い換えれば悟空がギャリック砲の直撃を受ければ地球へのダメージは薄れたと考えることができます。
あくまで「地球を破壊する」よりも「悟空を殺す」ことが目的だったのであれば、悟空が地球のことを思って避けられないと考えて攻撃したということでしょうかね。
しかし、「地球もろとも粉々に撃ち砕いてくれるぞ」「地球もろとも宇宙の塵になれ」と発言しているため、悟空が避けずに直撃していてもやはり地球は壊れていたように思えます。自分も宇宙の塵になるのに。
結局悟空がかめはめ波で撃ち返したから良かったものの、そうでなければ本当に地球は粉々になって、悟空もベジータも粉々になっていたことでしょう。ゲームにキレてコントローラーを投げて壊れてから後悔する人みたいな感じで、キレてつい地球を壊そうとしちゃったんですね。
まとめ
ベジータはギャリック砲で地球を壊していたら自分も死んでいたので、後先考えずに地球を壊そうとしてしまっていただけだったと思われます。
それにしても戦闘力18000程度で地球を壊せてしまうのは恐ろしいですね。
以降のZ戦士たちは星を壊さないように戦っており、ベジータも18号戦で「俺が本気を出したら地球が壊れちまう」と言っています。地表に向けて攻撃ができないというのはかなり戦いにくそうですね。
《サイヤ人編は17巻から!》